HONDA CD125Tの固着したクラッチを外しましょう。
数ヶ月、数年渡り放置される事がしばしばあるバイクですが、長期間放置されていた車両は、十中八九エンジンがかかりません。
主な原因は、
・バッテリー上がり
・キャブレター詰り
ですが、その他不具合が発生する事も良くあります。
例えば、
・パンク
・錆からくるケーブル類の作動不良
そして、
・クラッチの固着です。
エンジンがかかって、さて出発してみようと、クラッチを握り、シフトを入れた瞬間、車体が前にぶっ飛ぶ事があります。
これがクラッチの固着です。クラッチが切れていないのです。
今回の車両は上記すべての項目を満たしていた放置車両です。
クラッチの固着はケース内にオイルが入っていても起こります。特にオイルが劣化している場合はなおさらです。
でわ、固着したクラッチをはがして行きましょう。
作業中の万が一に備え、バッテリーのマイナス端子を外します。
何かの拍子にセルが回ってしまったら大変ですからね。
クランクケースの下にあるドレンボルトからオイルを抜きます。
車体右側のオイル注入口のキャップ(プラスチック)を開け、写真のドレンからオイルを抜きます。ドレンは車体左側です。

次に車体右側のマフラーを外します。
クラッチワイヤーを外します。
オイルが抜けきったらクラッチカバーを開けるのですが、写真のネジを外す時ステップが邪魔になります。

車体左側のステップを留めてあるボルトを緩め、ボルトを抜きます。
クラッチカバーを留めてある10本のネジを外し、カバーを外します。

ガスケットが引っ付いて簡単には取れませんが、プラスティックハンマー等で軽く叩きながら丁寧に外します。
絶対に隙間にマイナスドライバー等を突っ込んでコジルのはやめましょう。ケースを傷つけ、後にオイル漏れの原因になります。

小さい部品をなくさないように。
次に、クラッチスプリングを圧縮している部分を取り外すのですが、ここにはバネの力が掛かっており、4本のボルトを均等に外して行かないとアルミ部品であるベアリングマウントがねじれて割れます。
4本のボルトを少しずつ、丁寧に、均等に緩めてゆきます。
組み付けるときも同様に均等に締めてゆきます。

プレートが外れると写真の少し変わったナットが現れます。

これを外すには特殊工具が必要です。

DAYTONA デイトナ /クラッチロックナットレンチ(ホンダ用)
このロックナットを外す時、インパクトレンチ等を使用される方もいますが、私はギアを1速に入れ、後輪をリフトのクランプに固定して外します。

ロックナットが外れたらクラッチが外れます。恐らく、フリクションプレートとスティールプレートが合体して1つの部品のようになっていると思います。
これをマイナスダライバー等で一枚ずつ剥がしてゆきます。
パキパキいいながら簡単に外れます。
フリクションプレートの劣化が激しいときはこのタイミングで新品に交換した方が良いです。
クラッチの構成部品はこんな感じです。

基本的にはこれでクラッチが切れるようになっているはずです。
これからもとに戻してゆくのですが、組み付ける時にはガスケットを新品にしなければいけません。
ガスケットの使い回しはオイル漏れの原因になります。高くない部品ですので必ず交換しましょう。
新品のガスケットにする為に古いものを取り除かないといけません。
ケース側と、カバー側の両方です。
スクレーパーなどを使って削ぎ取ってゆくのですが、クランクケースもクラッチカバーもアルミ部品ですので傷がつかないように細心の注意を払って丁寧に剥がしてゆきます。
s.jpg)
ESCO エスコ /スクレーパー
ガスケットを剥がしていると邪魔になってくるのがノックピンです。
普通は手でも抜ける程度の緩さなのですが、まれに固くて取れない場合があります。

そんな時、ペンチやプライヤー等でつかんで引っ張るとピンが変形したあげく抜けない。なんて事になります。
ピンが変形してしまうと交換しなければなりません。
変形しなければ使い回しができますので、できるだけ変形させたくないものです。
そんなときは、

ピンに適当な棒を突っ込みます。
そしてピンをプライヤー等でつかみ、回しながら抜きます。
突っ込む棒の例
s.jpg)
ESCO エスコ /3-10mm 6本組平行ピンポンチ
それでも固い場合はヒートガンで暖めて抜きます。

ESCO エスコ /AC120V/1440Wヒートガンキット
もっと安いの。
ガスケットが剥がれたら接合面をオイルストーンで磨きます。
削るのではなく、磨くのです。
常に平面が保たれるように丁寧に磨きます。

例えば、
s.jpg)
ESCO エスコ /125×41×13mm ソフト・ハード オイルストーン
または、

DAYTONA デイトナ /オイルストーン
ガスケットがきれいに剥がれたところで元通り組み付けてゆきます。
まずはクラッチユニット。

ワッシャーを入れてロックナットを締めますが、私はここで必ずネジロック剤を使います。

締め付けトルクは4.0~4.5kgf-m
後は元通り組み付けます。

クランクケースカバーの締め付けトルクは0.7~1.1kgf-mです。
ガスケットの表面には薄くオイルを塗って使います。
カバー、クラッチワイヤー、ステップ、マフラー、バッテリーターミナルを元通り組み付けます。
オイルを入れましょう。CD125Tは1.5リットルです。


HONDA ホンダ/ウルトラ G1
クラッチの遊びを調整しましょう。
もっと役に立つ記事を書いて欲しいと思った人はこちらをクリックしてください。

バイク(整備・修理) ブログランキングへ

主な原因は、
・バッテリー上がり
・キャブレター詰り
ですが、その他不具合が発生する事も良くあります。
例えば、
・パンク
・錆からくるケーブル類の作動不良
そして、
・クラッチの固着です。
エンジンがかかって、さて出発してみようと、クラッチを握り、シフトを入れた瞬間、車体が前にぶっ飛ぶ事があります。
これがクラッチの固着です。クラッチが切れていないのです。
今回の車両は上記すべての項目を満たしていた放置車両です。
クラッチの固着はケース内にオイルが入っていても起こります。特にオイルが劣化している場合はなおさらです。
でわ、固着したクラッチをはがして行きましょう。
作業中の万が一に備え、バッテリーのマイナス端子を外します。
何かの拍子にセルが回ってしまったら大変ですからね。
クランクケースの下にあるドレンボルトからオイルを抜きます。
車体右側のオイル注入口のキャップ(プラスチック)を開け、写真のドレンからオイルを抜きます。ドレンは車体左側です。

次に車体右側のマフラーを外します。
クラッチワイヤーを外します。
オイルが抜けきったらクラッチカバーを開けるのですが、写真のネジを外す時ステップが邪魔になります。

車体左側のステップを留めてあるボルトを緩め、ボルトを抜きます。
クラッチカバーを留めてある10本のネジを外し、カバーを外します。

ガスケットが引っ付いて簡単には取れませんが、プラスティックハンマー等で軽く叩きながら丁寧に外します。
絶対に隙間にマイナスドライバー等を突っ込んでコジルのはやめましょう。ケースを傷つけ、後にオイル漏れの原因になります。

小さい部品をなくさないように。
次に、クラッチスプリングを圧縮している部分を取り外すのですが、ここにはバネの力が掛かっており、4本のボルトを均等に外して行かないとアルミ部品であるベアリングマウントがねじれて割れます。
4本のボルトを少しずつ、丁寧に、均等に緩めてゆきます。
組み付けるときも同様に均等に締めてゆきます。

プレートが外れると写真の少し変わったナットが現れます。

これを外すには特殊工具が必要です。

DAYTONA デイトナ /クラッチロックナットレンチ(ホンダ用)
このロックナットを外す時、インパクトレンチ等を使用される方もいますが、私はギアを1速に入れ、後輪をリフトのクランプに固定して外します。

ロックナットが外れたらクラッチが外れます。恐らく、フリクションプレートとスティールプレートが合体して1つの部品のようになっていると思います。
これをマイナスダライバー等で一枚ずつ剥がしてゆきます。
パキパキいいながら簡単に外れます。
フリクションプレートの劣化が激しいときはこのタイミングで新品に交換した方が良いです。
クラッチの構成部品はこんな感じです。

基本的にはこれでクラッチが切れるようになっているはずです。
これからもとに戻してゆくのですが、組み付ける時にはガスケットを新品にしなければいけません。
ガスケットの使い回しはオイル漏れの原因になります。高くない部品ですので必ず交換しましょう。
新品のガスケットにする為に古いものを取り除かないといけません。
ケース側と、カバー側の両方です。
スクレーパーなどを使って削ぎ取ってゆくのですが、クランクケースもクラッチカバーもアルミ部品ですので傷がつかないように細心の注意を払って丁寧に剥がしてゆきます。
s.jpg)
ESCO エスコ /スクレーパー
ガスケットを剥がしていると邪魔になってくるのがノックピンです。
普通は手でも抜ける程度の緩さなのですが、まれに固くて取れない場合があります。

そんな時、ペンチやプライヤー等でつかんで引っ張るとピンが変形したあげく抜けない。なんて事になります。
ピンが変形してしまうと交換しなければなりません。
変形しなければ使い回しができますので、できるだけ変形させたくないものです。
そんなときは、

ピンに適当な棒を突っ込みます。
そしてピンをプライヤー等でつかみ、回しながら抜きます。
突っ込む棒の例
s.jpg)
ESCO エスコ /3-10mm 6本組平行ピンポンチ
それでも固い場合はヒートガンで暖めて抜きます。

ESCO エスコ /AC120V/1440Wヒートガンキット
もっと安いの。
ガスケットが剥がれたら接合面をオイルストーンで磨きます。
削るのではなく、磨くのです。
常に平面が保たれるように丁寧に磨きます。

例えば、
s.jpg)
ESCO エスコ /125×41×13mm ソフト・ハード オイルストーン
または、

DAYTONA デイトナ /オイルストーン
ガスケットがきれいに剥がれたところで元通り組み付けてゆきます。
まずはクラッチユニット。

ワッシャーを入れてロックナットを締めますが、私はここで必ずネジロック剤を使います。

締め付けトルクは4.0~4.5kgf-m
後は元通り組み付けます。

クランクケースカバーの締め付けトルクは0.7~1.1kgf-mです。
ガスケットの表面には薄くオイルを塗って使います。
カバー、クラッチワイヤー、ステップ、マフラー、バッテリーターミナルを元通り組み付けます。
オイルを入れましょう。CD125Tは1.5リットルです。


HONDA ホンダ/ウルトラ G1
クラッチの遊びを調整しましょう。
もっと役に立つ記事を書いて欲しいと思った人はこちらをクリックしてください。

バイク(整備・修理) ブログランキングへ
