ハーレー FXST EVO トランスミッションの分解手順 ⑤ミッションの変速のしくみ

この記事はハーレー FXST EVO トランスミッションの分解手順 ④ ギアを取り出してみようの続きです。
この記事からご覧になられている方はハーレー FXST EVO トランスミッションの分解手順 ① からスタートしてください。



さて、ミッションケースを開け、ギアを取り出しばらしてみると、結構単純な部品で出来上がっている事がわかります。


ハーレーのトランスミッションはメインシャフトのギアと、カウンターシャフトのギアが常にかみ合っていますので、
コンスタントメッシュ・トランスミッション(常時かみ合式変速装置)と言います。



それでは図を使いながら動力の伝達経路を見て行きましょう。
実際にミッションが手元にあると理解するのは非常に簡単です。

ニュートラルから5速まではざっとこのようになっています。

パワーギアとは動力を受けているギアの事です。
スライディングギアはシフトチェンジをした時に動くスライダー(SL)の事です。

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ここでもう少しギアの並びを見てみましょう。

よく見ると、スライダー(SL)ギアの隣には必ずフリーホイール(FW)があります。かみ合っている対軸のギアもフリーホイール(FW)です。
フリーホイールは常に受け身なのです。
図のニュートラル状態ではSLがどのFWとも合体していません。
この時、エンジンで発生した動力の駆動系への伝達はありません。


1速の時
1速

エンジンで発生した回転はプライマリー、クラッチを介してメインシャフトに伝達されます。

M5(ドライブプーリーと一体化)はFWですので入ってくるときの動力伝達はありません。
次のM2はSLですので、メインシャフトとともに回転していますが、となりのFWと合体していませんので、動力伝達はありません。M3もM2と合体していませんのでスルーです。

次にM1ですが、M1はSLですのでメインシャフトとともに回転しています。そして、かみ合っている相手側(カウンターシャフト)のギアC1はFWですが隣のC3(SL)合体していますのでM1の動力はC1に伝わりカウンターシャフトが回転します。
C2はFWで隣のC3と合体していないのでスルーです。

次のC5はFXですのでカウンターシャフトが回転すると必ず回転します
C5が回転するので対軸のM5(FW)に回転が伝わり、プーリーが回転します。

文章では複雑です。
実際に見るとわかりやすいです。

では、同じ要領で2速も見てみましょう。


2速

2速

メインシャフトに伝わってきた動力はM5をスルーしてM2へ伝わります。

M2はSLですのでメインシャフトとともに回転しています。この時、M2は隣のM5にもM3にも合体していませんが対軸のC2とは噛み合っていますので、C2に回転が伝わります。

C2はFWですが、隣のC3(SL)が合体した事でC3経由でカウンターシャフトに動力を伝えます。

C5はFXですので、カウンターシャフトの回転をM5に伝え、プーリーを回転させます。(1速のときと同じです)



大体わかりますか?



同じ要領で一番目の図を見て確認してみてください。



1速から4速までと5速の時の違いに気づきましたか?


5速のときはカウンターシャフトに動力が伝わっていません。


このような、メインシャフトのみで動力の伝達が完了している状態の事を

「ダイレクトドライブ」

と言います。

この時、メインシャフトの回転数=プーリーの回転数となり、
ギア比は1:1です。




ハーレーは3速ミッション、4速ミッション、5速ミッション、社外では6速ミッションなど、何種類かありますが、基本的な構造はすべて同じです。


その他のバイクでも少し古いものは大体同じような感じです。


長く使っていると金属はどうしても摩耗します。その為部品を交換しなければいけないときが必ず来ます。
ギア、シャフト、ベアリング、ワッシャー、シール、シフターフォーク、等々。


各部品の使用限度はマニュアルに記載されていますので参考にしてください。



ハーレー FXST EVO トランスミッションの分解手順 ⑥組み立てよう。に続く。




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ハーレー FXST EVO トランスミッションの分解手順 ④ ギアを取り出してみよう

この記事はハーレー FXST EVO トランスミッションの分解手順 ③ サイドプレートを外そう。の続きです。
この記事からご覧になられている方はハーレー FXST EVO トランスミッションの分解手順 ① からスタートしてください。



理屈がわからなければ取っ付き難いミッションですが、構造がわかれば簡単な作りです。

大きく分けて、構成部品はシャフトギアワッシャーサークリップベアリング5種類です。

ハーレーの大半のモデルのトランスミッションは、メインシャフトとカウンターシャフトの2本のシャフトにギアがそれぞれ付いてます。


ギアをばらすのにサークリップを外す必要がありますが、このミッションに使われているサークリップは穴の開いているスナップリングとは違いますので、取り外しに少し特殊なサークリッププライヤーが要ります。


このような形状のものです。グリップを握ると先が開く仕組みになっています。
例)
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それでは、ばらしてみましょう。

端から順番に外してゆくだけです。


バラバラになりました。
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シャフトについているギアは大きく分けて3種類あります。

シャフトに完全に固定されていて、
横にも縦にも動かず、常にシャフトとともに回転しているフィックスドギア(ここではフィックスドギアの事をFXと表現します)


シャフト上を縦にも横にも動きませんが、
シャフトが固定された状態でも回転できるフリーホイール(ここではFWと表現します)


シャフトと共に回転しますが、
横へ移動(スライド)が可能なスライダーギア(ここではSLと表現します)


この3種類です。


上記写真で見ると左側がメインシャフト(M)、上から*M2,M3,M1,M4。
M5はプライマリープーリーとともにケースについたままの状態。

右側カウンターシャフト(C)は上からC5,C2,C3,C1,C4。

M1,M2,C3がスライダーギア(SL)

M2とはメインギアの2速用という意味です。ですから、M1はメインシャフト側の1速用ギア、C4はカウンターシャフト側の4速用ギアという事です。


文章ではわかり難いですが、実際に手に取ってみるとよくわかると思います。


ワッシャーとクリップの位置と種類は重要です。組み付け時に間違わないように注意しましょう。

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広めの溝にはニードルベアリングが入り、その上にはFWギアが来ます。
サークリップとギアの間にはサークリップの引っ掛かり防止と隙間調整の為にスラストワッシャーが入ります。大きさ、厚みを間違えるとギアが正常に作動しなくなりますので要注意です。

写真はカウンターシャフトのC5、C3のみ残った状態。
左側先端がプライマリーサイド(車体左側)


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ギアの抜けたミッションケース。
奥にあるのがM5(FW)です。



それでは次号はミッション内の変速の仕組みに付いてふれてみましょう。


ハーレー FXST EVO トランスミッションの分解手順 ⑤ミッションの変速のしくみ。へ続く。


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プロフィール

爆音さん

Author:爆音さん
整備やカスタムについて共有しましょう。
現在行っているものや、整備学校時代に撮った写真を使って記事を書きたいと思います。
ハーレーに限らず、バイクを分解整備する時に是非使って頂きたいのが、適切な工具とメーカー発行のサービスマニュアルです。
マニュアルには分解手順、注意点、締め付けトルク、組み立て手順が記されています。
特に、ハーレーのマニュアルはその順序が事細かにかかれていると思います。しかし、日本語のサービスマニュアルがあまり出回っていないのも事実。
ほんの少し、分解整備の手伝いになればと思います。
分解整備は個人の責任に於いて行ってください。

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